組織論 / マインドセット

「自由にやらせて」が選手を不幸にする? イーロン・マスク的思考の限界と、チームという『束縛』がもたらす最強の幸福論

関係性のない自由な孤独と、チームという束縛の中にある熱狂の対比

はじめに:「自由」の正体は「孤独」かもしれない

「髪型も服装もプレーも、もっと自由にしたい」
「チームのルールに縛られたくない」

最近のスポーツ界では「個の尊重」が叫ばれ、自由であることが善とされています。 しかし、PIVOTの動画で先崎彰容氏は、現代にはびこる「行き過ぎた自由(テクノ・リバタリアン)」に警鐘を鳴らしています。

イーロン・マスクが火星に行きたいのは、地球という「束縛」から逃れたいからだと言われます。 しかし、すべてのしがらみ(人間関係、ルール、責任)を断ち切った先に待っているのは、「誰からも必要とされない」という究極の孤独と不安です。

1. 「役割」という名の不自由が、人を輝かせる

動画の中で語られる「摩擦熱」という言葉が印象的です。 一人で食べる高級フレンチよりも、仲間と山登りをして(苦労して)、頂上で食べるおにぎりの方が美味しい。 これは、そこに「摩擦(負荷)」があるからです。

野球も同じです。
「好きに打っていいよ」と言われるより、
「お前がバントを決めてくれないと負けるんだ」と役割(責任)を背負わされた時の方が、成功した時の震えるような喜びは大きいはずです。

チームの規律や役割は、一見すると「不自由」です。 しかし、それは同時に「あなたがここにいる意味(居場所)」を与えてくれるものでもあるのです。

摩擦(プレッシャーや責任)が熱量(情熱)を生むことを示す物理的なメタファー

2. 流動性の時代に「錨(いかり)」を下ろす

現代は「嫌なら辞めればいい」「移籍すればいい」という「流動性」の高い時代です。 しかし、先崎氏は、流動性は「不確実性(明日はどうなるかわからない不安)」と表裏一体だと言います。

常に「もっといい場所があるかも」とフラフラしている選手は、結局どこでも根を張れません。 逆に、「俺はこのチームでやり遂げる」と覚悟(固定性)を決めた選手は強い。 チームという港にしっかりと錨を下ろしているからこそ、嵐の中でもブレずに挑戦できるのです。

3. テクノロジーは「関係」を切るが、スポーツは「関係」を結ぶ

スマホやSNSは、面倒な人間関係をショートカット(切断)するツールです。 一方で、スポーツはパスを出し、声を掛け合い、カバーし合うという「関係性の塊」です。

テクノロジーが進化すればするほど、生身の人間がぶつかり合うスポーツの価値は高まります。 「面倒くさいこと」を避けないでください。 その面倒くさい人間関係の中にしか、AIには決して味わえない「生きている実感」はありません。

結論:不自由を愛せ

「自由」は甘い言葉ですが、栄養はありません。
「規律」や「責任」は苦いですが、あなたを強くする栄養が詰まっています。

チームという「束縛」を愛しましょう。
そこには、一人では絶対に見られない景色があるのですから。