マインドセット / 野球哲学

「気概」を失った日本人へ。AIにも代替できない、困難を"面白がる"ための最後のエンジン

逆境を恐れず進む「気概」を持った人間のイメージ

はじめに:死語になりつつある「気概」

「あの選手には気概がある」

昔はよく聞きましたが、最近はあまり耳にしなくなりました。

辞書で引くと「困難にくじけない強い意志」とあります。英語で言えば「Grit(やり抜く力)」や「Backbone(背骨・気骨)」に近いでしょう。

現代社会は、この「気概」を必要としない社会になりつつあります。困難はテクノロジーが取り除き、くじける前に逃げる選択肢(転職や退部)が用意されているからです。

しかし、だからこそ問いたい。
「障害物のない人生を歩んで、あなたは楽しいですか?」

1. 気概とは「困難を面白がる力」

気概がある人と、ない人の決定的な違い。それは、目の前に壁が現れた時の反応です。

  • 気概がない人: 「うわ、最悪」「どうやって楽に避けようか」と考える(損得勘定)。
  • 気概がある人: 「お、試されてるな」「これを越えたら強くなれる」とニヤリとする(美学)。

気概とは、単なる我慢強さではありません。逆境を「自分が主役になるための舞台装置」として捉え直す、高度な知的変換能力なのです。

2. 明治人の顔、現代人の顔

先日の記事(先崎彰容氏の動画解説)でも触れましたが、明治時代の写真を見ると、どの日本人も「強い目」をしています。彼らは貧しかったけれど、「国を作る」「家を守る」という強烈な負荷(責任)を背負っていました。

一方、現代の私たちはどうでしょう。清潔で、安全で、満腹です。しかし、どこか虚ろで、不安げです。

それは、背負うべき荷物を下ろしてしまったからです。人間は、「重たい荷物(志)」を背負って坂道を登っている時、最も足腰に力が入り、生きている実感が湧く生き物なのです。

気概が人間の精神的支柱(バックボーン)であることを示す解剖図的イラスト

3. AIに「気概」は実装できない

AIは計算が速く、効率的な答えを出します。しかし、AIに「悔しい」という感情はありません。「なにくそ」と歯を食いしばることもありません。

これからの時代、効率や正解はAIに任せればいい。人間がやるべきは、「確率的には無理でも、挑まずにはいられない」という非合理な情熱を燃やすことです。

9回裏2アウト満塁。データでは打率1割でも、「俺に回せ」と言えるか。その非合理な「気概」だけが、スタジアムの空気を変え、奇跡を起こします。

結論:背骨を入れろ

姿勢を正してください。下を向いてスマホを見るのをやめ、顔を上げてください。

「気概」を持つにお金はかかりません。ただ、「私は困難から逃げない」と決めるだけです。

その瞬間、あなたの背中に一本の「背骨」が通ります。その背骨さえあれば、どんな時代も、どんな不条理も、堂々と歩いていけるはずです。