組織論 / リーダーシップ

「リーダーに人間力はいらない」は本当か? 流行りの組織論『識学』が突きつける、冷徹なルールの正体と、それを使いこなす『真の人間力』

冷徹なルールとそれを運用する熱い人間力の融合

はじめに:「背中で語る」はもう古い?

「俺についてこい!」
「飲みに行って腹を割って話そう」

昭和・平成のリーダーシップは、こうした「人間力(カリスマ性・情熱)」に依存していました。 しかし、今話題の組織マネジメント理論「識学(しきがく)」は、これを真っ向から否定します。

「リーダーは人間力で組織を牽引すべきではない」

一見すると冷酷に聞こえるこの理論。
しかし、その真意を紐解くと、私たちが目指すべき「新しいリーダー像」が見えてきます。

1. 識学とは? 「型」が先、「心」は後

識学の基本思想はシンプルです。
組織の不協和音は、すべて「認識のズレ(誤解・錯覚)」から生まれると考えます。

  • ズレの原因: 「頑張れば評価される」「上司はわかってくれるはず」という曖昧さ。
  • 解決策: 「いつまでに」「何を」「どういう状態にすればいいか」を完全に数値化・言語化し、ルール(型)通りに実行させる。

そこに「やる気」や「モチベーション」は関係ありません。
「型(正しい行動)を行えば、成果が出る。成果が出れば、後からやる気(心)がついてくる」
これが識学のロジックです。

2. 「いい人」をやめる勇気

では、なぜ多くのリーダーは識学を実践できないのでしょうか?
それは、私たちが「好かれたい」「いい人だと思われたい」という欲求を捨てきれないからです。

  • 部下の顔色をうかがう。
  • 厳しくルールを適用できない。
  • 「まあ、今回はいいか」と例外を作る。

これらは優しさではなく、リーダーとしての「弱さ(逃げ)」です。
識学が否定している「人間力」とは、この「なあなあの関係」を作るための人間力のことです。

属人的なリーダーシップと、再現性のある識学マネジメントの構造比較図

3. ルールを貫くことこそが「真の人間力」

ここで、冒頭の疑問に戻ります。
「識学を習得・発揮するのも、結局は人間力ではないか?」

その通りです。
感情を排し、嫌われることを恐れず、淡々とルールを運用し続けること。
これには、強靭な「自制心(セルフコントロール)」が必要です。

  • 自分の感情(怒りや同情)を抑える力。
  • 孤独に耐える力。
  • 組織の未来のために、目の前の部下に厳しく接する愛。

これこそが、Ota Methodが定義する「非認知能力(人間力)」の極致ではないでしょうか。

結論:ドライなシステムを、ウェットな魂で回せ

「人間力がいらない」というのは、「カリスマ性がいらない」という意味です。
しかし、システムを運用するための「器(人格)」は不可欠です。

「システムはドライに(識学)、マインドはホットに(人間力)」

この矛盾を両立できるリーダーだけが、再現性のある「勝てる組織」を作ることができるのです。