はじめに:その反復は「毒」になるかもしれない
「とにかく数をこなせ」 スポーツの世界では、反復練習(トレーニング)が美徳とされます。
しかし、もしあなたが「間違ったフォーム」で1000回素振りをしたらどうなるでしょうか? 間違った動きが脳に深く刻み込まれ、「修正不可能な癖」として完成してしまいます。
今日は、スポーツにおける「学び(Learning)」と「トレーニング(Training)」の決定的な違いについてお話しします。
左:新しい神経回路を作る「学び(New Connection)」 / 右:既存の回路を強化する「トレーニング(Reinforcement)」
1. トレーニング(Training)=「強化」
トレーニングの本質は「既存の回路を太くすること」です。
- 目的: 無意識に動けるようにする、スピードやパワーを上げる。
- 状態: 失敗しないように反復する。脳への負荷は低い。
これは「既にできること」を速く、強くするための作業です。 フォームが固まっていない段階でこれを行うと、悪い癖をコンクリートで固めるような自殺行為になります。
2. 学び(Learning)=「書き換え」
一方、学びの本質は「新しい回路を作ること」です。
- 目的: できない動きをできるようにする、エラーを修正する。
- 状態: たくさん失敗する。試行錯誤する。脳への負荷が高い。
ここでは、スムーズさは必要ありません。 「あ、今の動きは違う」「こっちの感覚か?」と、脳内で神経回路を繋ぎ直す作業こそが「学び」です。 汗はかきませんが、脳はヘトヘトになります。
3. まず「学び」、次に「トレーニング」
成長しない選手は、この順序を間違えています。 「学び(動きの習得)」がないまま、「トレーニング(反復)」をしてしまうのです。
The Growth Sequence(正しい成長の順序)
違和感を探す・試行錯誤
負荷をかけて強化
正しい動きが出る
代替テキスト:学び(探索)からトレーニング(強化)への移行プロセス
「今日は学ぶ日なのか? 鍛える日なのか?」 これを明確に区別するだけで、練習の質は劇的に変わります。
ビデオ Podcast
結論:脳に汗をかけ
身体をいじめること(トレーニング)に逃げないでください。 それは「やった気」にはなれますが、スキルは向上しません。
本当に上手くなりたいなら、動きを止め、考え、悩み、脳に汗をかく「学び」の時間を恐れずに確保しましょう。 遠回りに見えるその時間こそが、最短の成長ルートなのです。

