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教育哲学

「継承」と「進化」──何を残し、何を変えるのか

私たちはしばしば、「伝統を守るべきか、時代に合わせて変えるべきか」で揺れます。
答えは二者択一ではなく、層を分けることにあります。

1. 定義

継承:時代を超えて価値を生む"核"の受け渡し(価値観・原理・物語)。

進化:環境や目的に合わせ"器と運用"を更新(方法・技術・仕組み)。

例:野球でいえば「人を尊ぶ・挑戦を歓迎する」は継承し、練習設計やデータ活用は進化させる。

2. 三層フレームで考える(核/器/運用)

核(Core):大切にしたい価値と原理
 例:安全最優先、敬意、挑戦と学習の循環

器(Form):ルール・制度・道具・時間割
 例:練習メニュー、評価基準、会議の構造、ITツール

運用(Practice):日々のふるまい・言葉・合図
 例:声かけ、リフレクションの型、KPIの掲示

原則:核は守る/器と運用は更新する。

3. 何を残し、何を変える?(チェックリスト)

目的:それは何のための仕組みか。

原理:因果は説明できるか(安全・学習・成果のどれに効く?)。

証拠:最近のデータや現場の声で裏づけできるか。

当事者:使う人が"自分事"として語れるか。

時限:見直し期限(例:3か月で再評価)を設定したか。

4. 現場実装例

野球チーム

継承:挨拶と相手・審判への敬意、失敗=学習の姿勢。

進化:ゲームモデルから逆算したドリルを更新、KPI(初球ストライク率、出塁後進塁確率、守備の失策要因)の見える化、動画での即時フィードバック。

学校・部活動

継承:学び合い・役割尊重。

進化:紙から共同ドキュメントへ、リフレクションを「事実→気づき→次の一手」の30秒形式に。

職場
継承:顧客志向・期日尊重。
進化:会議を"15分立ちミーティング+事前資料必読"へ、成果報告をダッシュボード化。

5. よくある失敗と回避

惰性の継承:理由が語れない「昔から」。→ 原理と言葉で再定義。

断絶の進化:核まで捨ててしまう。→"変えない宣言"を先に明文化。

過度な一気替え:現場が追いつかない。→小さく試し、期限つきで評価。

6. 1ページ運用(今日から)

見出し「残す・変える・試す」

残す(核):3項目

変える(器/運用):3項目(理由と効果指標)

試す(実験):1項目(期限と撤退条件)

週次で10分レビュー、月次で更新。

結び
継承は自分たちの"らしさ"の保存、進化は"らしさ"で勝ち続ける工夫。層を分け、言葉にし、小さく回す。伝統は、止まることではなく動き続けるための羅針盤です。

ブログ動画
https://www.youtube.com/watch?v=U4hPZnQOxWg&list=PL-QRCepORqGbW-cQmkEoZgFWvOjGaYExs&index=1

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