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コミュニケーション

野球の「声出し/声掛け」を5W1Hで設計する──誰が・いつ・どこで・何を・なぜ・どうやって

声は"雰囲気づくり"だけではありません。プレーの質を上げる道具です。5W1Hで設計しましょう。

Why(なぜ)=目的

情報:状況確認(アウトカウント、走者、風、太陽、打者傾向)

意図合わせ:配球・守備位置・牽制・カットプレーの合意

合図:スタート/ストップ/切替(次へ)

称賛:良いプレーを即座に増幅(再現性)

修正:短く事実→次の一手

目的が曖昧な声は"ノイズ"。機能を決めて出す。

Who(誰が)=役割

捕手:守備側の司令塔。配球・守備位置・牽制の主導。

内野リーダー(遊撃/二塁):カットプレー/連携の最終確認。

外野センター:外野位置とフライ時の優先権コール。

投手:牽制の合図、テンポ調整、自己リセット。

ベンチ:代走・代打の意図、サイン徹底、ナインの再起動。

一塁/三塁コーチ:走塁の情報(間合い、投手の癖、外野肩)。

When(いつ)=タイミング

プレー前:配球前3秒、サイン確認後(意図合わせ)

プレー中:打球・送球の優先権、進塁・帰塁の合図

プレー直後:次プレー移行の「リセットコール」

区切り:回頭/投手交代/守備隊形変更時の再定義

黄金の3秒:サイン決定→投球までの3秒で「意図」を短く。

Where(どこで)=届く位置

距離×方向を意識:外野へは短い単語+手振り、内野は具体語。

風上・観客騒音・屋内反響を考え、視覚合図(指差し・掌の形)とセットで。

What(何を)=内容テンプレ

情報:「1アウト・2塁」「風ライト流れ」「バントケア」

意図:「イン攻め→ゲッツー体勢」「外高め釣る→外野前進」

優先:「俺(私)いく!」「任せた!」(フライ時)

合図:「ここ切る!」「ストップ!」

称賛:「ナイス判断!今の"ホーム優先"OK」

修正:「今のは二遊間深い→次は一歩前」

3語コールが基本:「1・2・前」/「外高・前進」/「バント・三塁」 など。

How(どうやって)=出し方の技術

声量は"届く最小"+明瞭(語尾まで)。

語彙を統一:チーム辞書をA4一枚で共有(用語を減らす)。

視覚と併用:指差し・手の形・身体の向き。

感情を乗せすぎない:事実→意図→合図の順。

リセット儀式:ミス後は「ナイスチャレンジ→次プレー」固定フレーズで切替。

ポジション別ミニ台本(例)

捕手:
「一死二塁、外高め誘う→内野前寄り、ゴロ本塁カット」

二遊間:
「強い当たりは二塁→一塁の順」「中継は私」

センター:
「私優先!ライト寄り一歩」「風レフト流れ」

投手:
「牽制いく」「OK次、外いっぱい」

ベンチ:
「代走出す、初球盗塁なし」「内外野、前進!」

局面別テンプレ

走者一三塁(無死)
情報:「無死一三」→意図:「ゴロは二塁始動」→合図:「ホーム最優先」

外野前進守備
情報:「一点勝負」→意図:「前進・正面送球」→合図:「返球は二塁止め」

バント警戒
情報:「上位打線バント有」→意図:「三一前、二遊カバー」→合図:「出たら三塁!」

測る(KPI)と振り返り

伝達遅延:サイン決定→野手了解までの秒数

ミス分類:声不足/語彙不一致/届かない距離

カバー率:重要場面での"3語コール"実施率

良い声ログ:試合後に"機能した声"を1例共有(30秒)

振り返りは「事実→よかった声→次の一手」の三行で十分。

よくある落とし穴と対策

大声=良いと思い込み → 明瞭・短い・届く方向を優先。

抽象語乱発(「OK!」「行こう!」だけ) → 具体語に置換。

個人差放置 → 低い声の選手は手振り強化、早口の選手は3語縛り。

ブログ動画
https://youtu.be/LsfQhFnqA34?si=uBWRKRjkAjOVWsaG

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