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教育哲学

「成功」と「失敗」をどう学ぶか──日本・日本軍・野球・組織で読み解く柳井流視点

柳井正氏の語る「日本的組織の病」は、過去の成功に縛られ変化できない状態――いわゆる"成功の復讐"を指す。これは日本企業だけでなく、歴史的には日本軍の失敗分析(『失敗の本質』)にも通底しているという視点だ。

1. キーワードの整理

成功:過去の勝ちパターン。更新しなければ硬直化の原因になる(=成功の復讐)。

失敗:禁止すべき現象ではなく、検証と改善の"入口"。

日本/日本軍:形式・序列・空気に従う同調圧力が強まり、現場の知が上がらず、意思決定が遅れる(『失敗の本質』の論点)。

野球:勝利文化の中で形(声出し、走塁様式、練習量)が目的化しやすい。

組織:学習が仕組み化されていなければ、偶然の成功に依存する。

2. 「成功の復讐」を避ける視点

原理から考える:形ではなく目的と因果(なぜ勝てた/なぜ負けた)。

仮説主義:過去の型を"仮説A"として扱い、常に"仮説B"と比較する。

現場起点:現場→データ→意思決定の"上向きループ"を用意する。

少量高速の実験:小さく試し、可逆に失敗する(撤退基準を先に決める)。

権威ではなく検証:肩書きより、事実・再現性・説明責任。

3. 『失敗の本質』からの学び(要約→運用)

形式主義の罠:儀礼や手順が目的化 → 野球:練習量→KPI(有効スイング率、初球ストライク率)に置換。

属人的リーダーシップ:属人の勘に依存 → 組織:決定根拠を文書化し、代替可能に。

フィードバック欠如:現場知が上がらない → チーム:試合後30分で「事実→学び→次の一手」三行レビューを義務化。

4. 6つの適用(成功/失敗/日本/日本軍/野球/組織)

成功:祝うだけで終わらせず、"何が再現可能だったか"を分解。

失敗:個人非難を避け、プロセスの設計欠陥として扱う。

日本:合意形成が遅れがち → 時間ボックスで決定期限を切る。

日本軍:現場無視の象徴 → ボトムアップKPI(現場の数値)を経営会議で先に見る。

野球:型の固定化 → ゲームモデルから逆算してドリルを更新。

組織:「CHANGE OR DIE」をスローガンで終わらせず、四半期ごとの"廃止リスト"を運用。

5. 明日からできる実装ミニセット

廃止:今期やめる"慣習・帳票・ミーティング"を各1つ。

置換:量→密度(練習/会議を短時間高濃度に)。

検証:実験は目的/仮説/ガードレール/評価指標をA4一枚で。

公表:成功も失敗も"検証ログ"として共有(学習速度が上がる)。

結論
成功は資産だが、同時に最大のリスクにもなる。歴史(日本軍の失敗)と現代の経営(柳井氏の危機感)に学び、小さく速く検証する組織へ。野球でもビジネスでも、過去の勝利を"仮説"に戻す勇気が未来の勝率を上げる。

ブログ動画
https://youtu.be/TEMMYxtjwCg?si=V84xjgQzv0KbQ2QN

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