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組織づくり

「チーム」と「組織」──小さな一体感と大きな仕組みを、どう両立させるか

「ウチは"チーム"か、"組織"か」。
答えはどちらも――スケールが違うだけです。

1. 定義をそろえる

チーム:少人数で、相互依存が高く、短い周期で成果を出す単位。例:野球の先発メンバー、プロジェクト班。

組織:複数のチームや機能を束ね、役割分担とルールで継続的に価値を生む枠組み。例:野球部/クラブ全体、会社。

チーム=熱とスピード。組織=仕組みと継続。

2. 役割の違い(強みと弱み)

観点 チーム 組織
目的 試合/案件など短中期ゴール ミッション・中長期戦略
意思決定 速い(現場主導) 広い(複数利害の調整)
強み 一体感、柔軟性、学習速度 再現性、資源配分、持続性
弱み 属人化、視野が狭くなりがち 鈍重化、現場距離、官僚化
3. 両立の設計(核/器/運用)

A. 核(共有する"心")

Purpose:何のために存在するか(1行)

Values:ふるまいの基準(3〜5項)

ゲームモデル/戦略の原則:意思決定の方角

B. 器(揃える"形")

構造:役割・権限・報告ライン(RACI)

リズム:日次(現場)/週次(戦術)/月次(戦略)の会議設計

可視化:スコアボード(KPI・OKR)

C. 運用(回す"手")

手順:Plan→Do→Review→Adjustの型を統一

フィードバック:事実→気づき→次の一手を三行

人材育成:守破離(守=標準、破=条件分岐、離=自分の型)

4. 野球と職場の具体例

野球

チーム:先発メンバーで試合前3分ブリーフィング(相手傾向・1人1役割宣言)。

組織:部全体で月次レビュー(KPI=初球ストライク率・出塁後進塁確率・守備の失策要因)→翌月の練習メニューを更新。

職場

チーム:日次スタンドアップ(15分、昨日の学び/今日の一手/阻害要因)。

組織:四半期でやめることリストを刷新、共通テンプレと自動化で再現性を底上げ。

5. 典型的な失敗と回避策

チーム偏重の落とし穴:情熱頼みで再現性がない → 標準化+記録を導入。

組織偏重の落とし穴:ルール先行で鈍重 → 現場裁量の"緊急回路"(小実験は事後承認)。

目的と手段の混同:手順が目的化 → 会議ごとに目的と合格基準を冒頭で宣言。

6. 状態遷移の合図(拡張のときにやること)

人数が7±2を超えた/案件が並行で3本以上 → 役割と会議の再設計。

個人技に依存 → 手順・辞書・教材を整備し、コーチを育成。

増え続ける"例外ルール" → 廃止のためのルール(毎月1つ捨てる)。

7. 今日からの1分チェック

目的(Purpose)を一行で言えるか

今週の共通KPIは何か

会議や練習の合格基準は定義されているか

学びを三行で共有したか(事実/気づき/次の一手)

結び
小さな一体感(チーム)を、仕組み(組織)で何度でも再現する。
この往復が、強さを一過性で終わらせず、続く力に変えていく。

ブログ動画
https://youtu.be/iVLBZzx0FV4?si=O6qLv5DWyee6-cTQ

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