コミュニケーション
「言語化」は責任感の表れ ― 言葉を磨く人は、仕事を磨く人。
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「言語化をサボる人は信用しない方がいい」――そう教わった10代の経験が、筆者の価値観を変えた。言葉を省く人ほど、認識ズレ・責任転嫁・非効率な会話を生む。言語化とは、思考を整理し、相手に誠実に向き合うための"努力と責任"の行為である。
1「言語化」とは、思考と責任をつなぐ行為
言葉にするとは、単に伝えることではない。「自分の考えを整理し、相手に誤解なく届ける努力」そのものである。
それは同時に、自分の発言に責任を持つ覚悟の表明でもある。
10代の頃にある大人からこう言われた。
「主語を抜き、理由を省き、具体例を考えない人は信用するな。」
その言葉をきっかけに、私は"言葉の精度"が人の信頼を左右することを実感した。
2「言語化をサボる人」と仕事をすると起こること
以下は、実際に現場で感じた"言葉を省く人"の特徴である。
認識が毎回ズレて、修正に時間がかかる
「とりあえず」「なんとなく」が口癖
「言ったつもり」で責任転嫁が発生する
曖昧すぎて、聞く側が疲弊する
「話せばわかる」が一生成立しない
言葉が足りず、議論が振り出しに戻る
これらはすべて、言語化の怠慢によるコミュニケーションコストの増大である。そして最も厄介なのは、「本人に悪気がない」点だ。
3言語化を避ける人は、思考を避けている
言葉を省く人の多くは、「考えること」そのものを避けている。
言語化とは、思考の整理であり、自分の立場や意図を明確にする作業。つまり、言語化の欠如=思考放棄である。
反対に、言葉を尽くせる人は:
- 自分の考えを客観視している
- 相手の理解コストを考えている
- 誤解を防ぐ努力をしている
こうした人は、結果的に信頼を得る。
4言葉を磨くことは、信頼を築くこと
「言葉」は人間関係の最小単位。主語・理由・具体例を丁寧に言うだけで、相手への誠意は伝わる。
誤解を防ぎ、時間を節約し、チーム全体の生産性を上げる。
言語化とは、責任感の筋トレである。
サボれば衰えるが、続ければ信頼が積み上がる。
5まとめ ― 言葉に「努力」が宿る人へ
仕事も、教育も、指導も、最終的には「伝える力」で決まる。
「言わなくても伝わるだろう」という慢心を捨て、「どうすれば伝わるか?」を考え抜くことこそ、プロフェッショナルの姿勢である。
言葉を尽くす人は、相手を思う人。
言葉を磨く人は、仕事を磨く人。
