エビデンス / 教育論

「野球をやると年収が上がる」は本当か? 慶大・中室牧子教授が明かす、学力よりも大切な『非認知能力』の経済的価値

読了時間: 12分
スポーツ経験と将来の経済的成功の対比を示すインフォグラフィック

はじめに:スポーツは「勉強の邪魔」ではない

「受験があるから、部活を辞めさせようか迷っています」 この相談は、毎年必ず耳にします。

しかし、教育経済学者の中室牧子氏(慶應義塾大学教授)が提示するデータは、その常識を覆します。 「スポーツを辞めさせることは、将来の年収を下げるリスクがある」

今日は、なぜスポーツやリーダー経験が、子供の将来(財布の中身)に直結するのかを解説します。

▼参照動画:

  • 学校を卒業した後に役立つ教育とは?
  • 将来の収入が上がる3つの非認知能力

1. データが証明する「リーダー経験」の価値

動画内で紹介されている衝撃的なデータがあります。

非認知能力が将来の年収に与える長期的影響を示すグラフ

スポーツ経験と年収:

子供の頃にスポーツをしていた人は、将来の年収が高くなる傾向がある。これは企業が「体力」だけでなく、チームワークや忍耐力を高く評価するためです。

リーダー経験のプレミアム:

生徒会や部活動でリーダーを務めた人は、将来の賃金が4%〜33%も高くなる

キャプテンや副キャプテン、あるいは係のリーダー。 面倒くさいと思われがちなその役割こそが、将来社会で稼ぐための「最強の実践トレーニング」だったのです。

2. 人生を支える3つの「非認知能力」

では、具体的に何が育つのでしょうか? 中室教授は以下の3つを挙げています。

テストの点数(可視)と、将来の収入に繋がる非認知能力(不可視)の関係図

忍耐力

困難な状況でも諦めずに続ける力

自制心

誘惑に負けず目標に向かう力

やり抜く力(グリット)

長期的な目標を達成する力

これらはテストの点数(認知能力)には表れません。 しかし、この力が最も威力を発揮するのは、キャリアの中盤(40〜60歳)です。

勉強だけで「自制心」のない人間は、社会に出てから挫折しやすく、逆にこの3つがある人間は、どんな環境でもしぶとく成果を出します。

3. 親ができることは「プロセス」を褒めること

この非認知能力は、生まれつきの才能ではなく、後天的に伸ばせます。 その鍵は、親や指導者の「声かけ」にあります。

結果を褒める

「100点取ってすごいね!」

プロセスを褒める

「毎日あきらめずに練習したのがすごいね!」

結果(点数)は運に左右されますが、プロセス(努力)は自分でコントロールできます。

努力を評価された子供は、「次も頑張ろう」という成長思考(グロースマインドセット)を獲得します。

結論:偏差値より「生きる力」を

受験勉強ももちろん大切です。 しかし、それを理由にスポーツやリーダー経験を奪うことは、子供から「社会を生き抜く武器」を取り上げるようなものです。

「勉強も大事だけど、キャプテンをやる経験はもっと大事かもしれないよ」

そう言える大人が増えた時、日本の教育は変わるはずです。

野球を通じて、一生モノの「稼ぐ力(非認知能力)」を育てていきましょう。

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