マインドセット / 指導理論12分

「努力は才能か?」の最終結論。天才をも凌駕する最強のスペック『練習し続けられる素質』の育て方

才能に勝る継続力のイメージ(ウサギとカメ)

「あいつは天才だから」と諦める前に知ってほしい。スポーツ界で最も恐れられる才能は、160km/hを投げる肩でも、柵越えを打つパワーでもない。「飽きずに、淡々と練習を続けられる能力」だ。多くの人はこれを「生まれつきの性格(素質)」だと思っているが、実は脳の仕組みを利用すれば開発可能な「スキル」である。

はじめに:最も恐ろしい「才能」とは

スカウトや指導者が、選手のどこを見ているかご存知でしょうか? 体格やスピードはもちろんですが、最後にプロの世界で生き残る選手には、共通する「地味な才能」があります。

それは、「練習ができる」という才能です。

「練習なんて誰でもできるだろう」と思うかもしれません。 しかし、来る日も来る日も、同じティーバッティングを、同じ熱量で、工夫しながら続けられる選手は、100人に1人いるかどうかです。 今日は、この「練習し続けられる素質」の正体に迫ります。

1. 「器用な選手」が消えていく理由

少年野球や高校野球の段階では、「練習しなくてもできる子(感覚派の天才)」がいます。 彼らは教わらなくても打てるし、投げられます。

しかし、彼らの多くは上のレベルに行くと壁にぶつかります。なぜなら、「練習する回路(耐性)」が脳にできていないからです。 「できないことを、できるようにする」というプロセスを経ずに育ってしまったため、壁にぶつかった時の乗り越え方がわからないのです。

逆に、不器用だった選手は、「反復しないと身につかない」ことを知っています。 この「泥臭い反復への耐性」こそが、長い目で見れば最大の武器(才能)になります。

2. 努力は「性格」ではなく「技術」

「うちは飽きっぽいから無理だ」と嘆く親御さんがいますが、それは誤解です。 「練習できる素質」は、遺伝的な性格だけでは決まりません。

それは、「ドーパミンの設計ミス」であることが多いのです。 人間は「報酬」がないと動けません。

続かない人: 「甲子園優勝」のような遠すぎる未来を報酬にしているため、今日の素振りが虚しくなる。

続く人(才能ある人): 「昨日よりスイングが1km/h速くなった」という「微細な変化」を報酬(喜び)に変換する技術を持っている。

つまり、練習できる才能とは、「小さな成長を面白がる能力」のことなのです。

初期能力は高いが伸び悩む天才と、練習の才能で指数関数的に伸びる選手の成長曲線比較

3. 「素質」は環境で作れる

もし、選手に「練習の才能」を植え付けたいなら、根性論で強制してはいけません。 必要なのは、「没頭できる環境デザイン」です。

  • 数値化する: ラプソードや測定器で「変化」を可視化する。
  • 邪魔を排除する: スマホを物理的に遠ざける。

「頑張らなきゃ」という意志の力を使わせている時点で、それは才能ではありません。 気づいたらやっていた、やめられない。その状態(フロー)を作ることが、コーチや親の役割です。

結論:天才は「飽きた」と言い、凡人は「発見した」と言う

同じ100回の素振りでも、才能のない人は「飽きた」と言います。 しかし、練習の才能がある人は「あ、今98回目でグリップの感覚がわかった!」と目を輝かせます。

「飽き」の向こう側にある「発見」を楽しめるか。 この感性を磨くことこそが、どんな身体能力のエリートをも凌駕する、最強の「素質」なのです。

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