「北風」が通用しない時代の指導論。チームの強さを決めるのは、スタメンではなく『控え選手』の熱量である
パワハラがリスクとなる現代、指導者はどう振る舞うべきか。言葉よりも「文脈」を伝え、教育の前に「採用」を見直すこと。そして何より、無視や無関心を排し、「控え選手」の熱量を高めることが最強のチームを作る条件だ。恐怖(北風)ではなく、信頼と承認で人を動かす、新しい時代の組織論を解説する。

はじめに:なぜ、あのチームは怒鳴らなくても強いのか?
現代の指導現場では、「パワハラ」という言葉が常に隣り合わせにあります。かつてのような「北風」のような叱咤激励だけで、人は動かなくなりました。
では、私たちはどうやって選手や部下を導けばいいのでしょうか?今回は、組織を劇的に変えるための「文脈」「採用」「熱量」の関係性について整理します。
1. 「言葉」ではなく「文脈」を届ける
指導者がどんなに正論を言っても、相手に届かなければそれは単なる「雑音」です。伝わらない原因は、言葉そのものではなく、その背景にある「文脈(コンテキスト)」の欠如にあります。
❌ Bad: ただ怒る。
「なんでできないんだ!」
✅ Good: 文脈を共有する。
「君の将来の目標にはこのスキルが必要だから、今あえて厳しく言っているんだ」
信頼関係という土台の上に「文脈」を乗せて初めて、言葉は凶器ではなく、成長のための糧になります。
2. 教育の前に「採用」で勝負は決まっている
「どんな選手でも、自分の指導次第で変えられる」これは、指導者の美学であり、同時に傲慢でもあります。
実は、組織の成功の8割は「採用(入り口)」で決まります。スキルが高いだけでなく、対話ができ、組織のフィロソフィーに共鳴できる人間(人間力の高い人間)を招き入れること。
入り口の基準を緩めないことが、結果としてパワハラなどの衝突を未然に防ぐ、最強のリスクマネジメントになります。
3. 「無視」という最大の暴力
選手にとって、怒られることよりも辛いことがあります。それは、「無視」され「無関心」を突きつけられることです。
指導者が主力選手ばかりを見て、控え選手を「風景」として扱った瞬間、組織のエネルギーは内側から腐り始めます。
「あなたのことを見ているよ」「期待しているよ」。この承認のサインを全員に出し続けることは、指導者の最低限の責務です。
4. チームの強さは「序列の低い選手」に宿る
私が考える「強いチーム」の定義は明確です。それは、「試合に出られない選手たちの熱量が高いチーム」です。
スタメンの選手がやる気があるのは当たり前です。しかし、メンバー外の選手が、仲間のために水を運び、枯れるまで声を出し、自分の成長を信じて練習できるか。
この「ボトムアップの熱量」こそが、逆境で折れないチームの底力となります。そして、彼らが熱量を維持できるかどうかは、指導者が彼らをどれだけ大切にしているか(承認しているか)にかかっているのです。
結論:指導者のOSをアップデートせよ
これからの時代、力でねじ伏せる「北風」の指導は淘汰されます。
- 文脈の共有: 意図が伝わらなければ、言葉は暴力になる。
- 採用の厳選: 組織の文化を守るのは、入り口のフィルターである。
- 承認の継続: 控え選手の熱量こそが、チームの真の「実力」である。
小手先のテクニックではなく、指導者自身が相手とどう向き合うか。その姿勢(あり方)をアップデートしていきましょう。
