「話を聞く」は5%、「教える」は90%。練習効率を劇的に変える『ラーニングピラミッド』の衝撃
コーチがどれだけ熱心に指導しても、選手がすぐに忘れてしまうのはなぜか? それは「講義(聞くこと)」の学習定着率がわずか5%しかないからだ。米国の国立訓練研究所が提唱する「ラーニングピラミッド」によれば、最も学習効果が高いのは「他者に教えること(90%)」である。受け身の練習から脱却し、選手同士が教え合う「アクティブ・ラーニング」の導入こそが、成長速度を18倍にする鍵となる。

はじめに:なぜ、何度言っても伝わらないのか?
「この前も言っただろ!」
「何度も同じミスをするな!」
指導現場でよく聞く言葉ですが、これは選手の頭が悪いからではありません。
「指導方法の定着率」が低いからです。
皆さんは「ラーニングピラミッド」という図を見たことがありますか?
これは学習方法による定着率の違いを表したもので、私たち指導者にとっては衝撃的な事実を突きつけています。
1. 講義(座学)の効果はたったの「5%」
ピラミッドの頂点を見てください。
学校や部活で最も一般的な「講義(Lecture)」の定着率は、わずか5%です。
どんなに素晴らしい理論を1時間話しても、選手は翌日にはほとんど忘れているということです。
その下を見ても、「読書(10%)」「視聴覚(20%)」と、受動的なインプット学習は軒並み効率が悪いことがわかります。
「言ったからわかっているはずだ」というのは、指導者の幻想に過ぎません。
2. 劇的に伸びる「アクティブ・ラーニング」の領域
では、どうすれば定着するのか?
ピラミッドの下半分、「能動的学習(Active Learning)」の領域にシフトする必要があります。
- グループ討論(50%): 監督が答えを言わず、選手同士で話し合わせる。
- 自ら体験する(75%): 実際に体を動かしてやってみる。
そして、最も効果が高いのが底辺にあるこれです。
「他者に教える(90%)」
3. 「教える」こそが最強の「学び」
「後輩に教えていたら、自分の調子も良くなった」
こんな経験はないでしょうか?
人に教えるためには、自分の中で情報を整理し、言語化し、体系化しなければなりません。
このプロセスを経ることで、知識は脳に深く刻み込まれます。
Ota Methodが「上級生が下級生を指導する」ことや「選手同士のペアトレーニング」を推奨するのは、単なる手抜きや仲良し作りではありません。
「教える側に回らせることで、その選手自身の能力を90%の効率で伸ばすため」の戦略なのです。
結論:マイクを置き、バトンを渡そう
指導者がマイクを握って話し続けているうちは、チームは強くなりません。
- ミーティングは短く切り上げ、ディスカッションさせる。
- 正解を教えるのではなく、「どう思う?」と問いかけて喋らせる。
- 習得させたい技術があるなら、「隣の選手に教えてみて」と指示する。
「インプット(5%)」ではなく「アウトプット(90%)」の場を作ること。
それが、学習効率を最大化するコーチの仕事です。
